今回は、愛と裏切り、そして赦しを描いた『ジゼル』をご紹介します。
『ジゼル』は、アドルフ・アダン作曲の二幕構成のバレエ作品で、ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネの作品を基にしているといわれています。
・ジゼル – 主人公で、心優しい村娘
・アルブレヒト – ジゼルに恋する貴族の青年
・ヒラリオン – ジゼルを愛する村の青年
・ミルタ – ウィリ(精霊)の女王
物語は、村の収穫祭の日に始まります。ジゼルは村娘として皆から愛されています。彼女は、貴族の青年アルブレヒトに恋をしますが、彼は身分を隠してジゼルに近づいています。ジゼルへ想いを寄せていたヒラリオンはそのことに気付き、ジゼルに告げようとします。
ヒラリオンによってアルブレヒトの正体が暴かれ、彼が貴族で婚約者がいることを知ったジゼル。アルブレヒトが本来の婚約者であるバチルダの手に口づけをすると、ジゼルは元来体が弱かったこともあり、あまりのショックで命を落としてしまいます。村人たちは悲しみに暮れながら、ジゼルを埋葬します。
ジゼルの墓がある森の沼のほとりは、結婚式をあげる前に死んだ花嫁たちが精霊ウィリとなり集まる場所。彼女たちは、迷い込んできた人間や裏切った男を死ぬまで踊り狂わせるのです。
ジゼルもウィリ(精霊)の女王ミルタによってウィリの一員となります。ウィリたちは墓参りに来たヒラリオンを踊り狂わせた末に沼に突き落とし、アルブレヒトのことも同様に襲おうとします。
しかし、ジゼルが「アルブレヒトだけは見逃してくれ」と女王ミルタに命乞いをし、ウィリたちに踊り狂わされる彼を守ります。やがて夜明けが訪れ、ジゼルはアルブレヒトに永遠の別れを告げ、救われたアルベルトだけがそこに残されました。
いかがでしたか。
第1幕では、ジゼルがアルブレヒトと軽やかに踊る場面が印象的で、彼女の純粋な愛が美しく描かれています。
第2幕では、一糸乱れぬウィリたちの幻想的な踊りが見どころで、ロマンティック・チュチュと呼ばれる白い衣装と妖しげな演出が観客を引き込みます。
また、この演目は主人公ジゼルの「人間の姿」と「ウィリ(精霊)となった姿」のふたつを見ることができ、踊り方や演じ方がガラリと変わるのも見どころのひとつです。
次回は、『バレエの髪型』をご紹介します。